今宵、君の翼で




「すまない―――…本当にすまない」


父は私達に頭を下げ、ひたすらそうつぶやいた。



翼が私を抱き寄せてくれたから…翼の胸で泣くことができた。


これが一人だったら…私はまた泣くのを堪えていただろう。


父が謝る姿がとても小さく見えて、もう以前のような威厳ある父親の姿はどこにもなかった。



あんなに嫌いだったのに…


その姿がとても寂しく感じた。