「お母さんは……お父さんの秘密の場所のことを知ってるの?」


この前連れ去られたこと、お父さんがお兄ちゃんをひき殺したのは翼だと勘違いしてることを話した。


お母さんは眉間にしわを寄せて、近くにあったソファに座った。


「だ、大丈夫?」


顔色が悪い。やっぱり話さない方がよかったかもしれない。


「ええ……でもあの人がそんなことしていただなんて……毎日こんなに近くにいたのに、全然気づかなかった」


「あのさ、お父さんって……ヤクザの人と繋がりあったりする?」


「え? どうして!?」


私はお母さんの目の前にお兄ちゃんの手紙を差し出した。


また後日にしようかとも思ったけど、お母さんも仕事が忙しいし、ふたりっきりの今が1番話しやすいと思ったから。


「この字……これって豪壮の字じゃない!」


お母さんは私から手紙を受け取ると、震えながら中身を取り出した。