今宵、君の翼で



あとから思えば救急車の方が良かったんだろうけど、この時は咄嗟に近くのタクシーを呼びとめて翼を乗せた。


私たちを見た運転手は驚いた顔をしている。



「お客さん大丈夫ですか!? 救急車呼んだ方が……」



「いいから! 近くの大きい病院に行ってください!」



運転手は私の迫力に圧倒されたのか、黙って頷いた。


病院に着くと、翼はすぐに担架で運ばれた。


私はタクシーの中で声を掛けることしかできなかったけど……


冷や汗がすごくて、意識が朦朧としているようだった。


あんな翼を見るのは初めてで、私も全身が震えていた。


一体誰が!?翼と繋がりがある暴力団の人達!?





しばらくして医者に呼ばれ私は中に入った。


険しい顔をした医者は誰にやられたのかと、倒れていた時の状況などを私に聞いてきた。



「彼に聞いても答えようとしないんですよ。でもひどい怪我ですしこれは立派な傷害罪ですからね」