今宵、君の翼で



ビルとビルの間の細い隙間に、翼が倒れている。


私は全身の血の気がひいた。


そこに倒れていた翼は体中に痣があって、顔には殴られたような跡もあり腫れあがっていた。



「翼!?」



大声で駆け寄ると、翼の体がビクッと動いた。


「く……くんなよ……」


目も腫れあがっていて、うまく開けられないようだった。



「誰にやられたの!?」



「いーから俺から……離れてろ! まだ近くにいるかもしんねぇ……」



ボロボロの体で起き上ろうとしている。



足の骨、折れてるかも……



「動いちゃダメ! 私なら平気だから! いざとなったら大声上げるし!」



私は翼を肩に抱えて立ち上がろうとした。


「やめ……ろ! 無理だっ……」


「無理じゃない! 少しは私の言う事聞いてよ!」


火事場の馬鹿力っていうのかな、ありったけの力を出して翼を持ち上げた。