今宵、君の翼で



横には翼の肩があって、翼はまっすぐに正面を見つめていた。


手は繋いだままで、こんな時なのにドキドキしちゃってる。


翼……どうして私を連れだしたんだろう。


助けてくれたのかな。



一階まで着くと、私をマンションの裏の方へと連れて行った。



「つ……翼……」


突然翼が振り返った。



「なんで逃げねぇんだよ!?」



すごい強い口調で怒鳴られた。


こんな翼初めて見る。


恐くて何も言えなくなった。



「たとえ逃げられなくても叫んだりできんだろ……」



翼は自分の前髪をワシワシと掻いていた。



「なに素直に押し倒されてんだよ……」


「つ……翼だって女の子と部屋に行ったじゃん!」



涙で翼が歪んで見える。



「お前……俺に幻滅してねぇの? この前あんなにひでぇこと言ったのに」


「あんなの本心じゃないってずっと信じてた。翼はあんなこと言う人じゃないもん」