「これ着れば?」
外へ出ると、翼が私に上着を渡した。
大きいグレー色のパーカーは、私にはぶかぶかすぎる。
翼は近くで見ると意外にガタイが良い。
「あの……本当にいいの?」
「いーよん」
そう答えてアパートの下に停めてあったバイクに鍵をさした。
「これ、翼のバイク?」
「そっ」
ドクンと心臓が揺れる。
カスタムしてあるバイクの横に貼られていたステッカー。
【Phoenix】
関東NO1の暴走族のチーム名だ。
暴走族に詳しくない私でも名前だけは知ってる。
もしかして……翼って暴走族なの?
無意識に後ずさりしてしまっている私に、翼はヘルメットを渡した。
「なに? 早く乗れよ」
「あ、う、うん」
ここで断っても変に思われるよね……
シホ先輩の知り合いだし、変な事はしないはず。



