『仕事休みっつってたからなー、家にいるかな……』
「家ってどこ? 先輩と暮らしてるって前に聞いたけど……」
「あー……うん。一場先輩ね」
「一場先輩?」
『ここだけの話、俺一場先輩苦手なんだよな……』
大輝の話だと一場先輩は翼の中学時代の先輩で、家がお金持ちらしい。
親が一場先輩にマンションを買いあたえ、そこに翼も住まわせてもらっている。
そして女癖がかなり悪いと……
それを聞いて更に不安になった。
『翼んとこに行くの? 俺もついていこうか』
「ううん、大丈夫。話するだけだから」
本当はちょっと怖い。
大輝もいてくれたら心強いだろう……
でも、もう誰にも頼りたくなかった。
自分の事は自分ひとりで解決しなきゃ。
『あのさ、何があったかわかんねぇけど、今の翼は本当の翼じゃねぇと思うんだ。絶対何かあると思うから……辛いかもしんないけど、あいつのこと信じてやって』
「うん。信じてるよ」
大輝から住所を教えてもらい、私は一場先輩のマンションを訪ねた。