「…何度も申しているでしょう。
それが規則だからです。私達は
先祖代々…」


「〝この掟に従ってきた〟…
でしょ?そんなの何度も
聞いてきたよ!私だって何度も
言ってるでしょ!それは
私が外に出てはいけないって理由には
ならないって!だいたいその掟も
おかしいよ!きちんと
その掟通りにするなら
〝リオナ〟や〝ルシアル〟達は
どうして外に出られるの?
なんで私だけここから
出られないのよ!

…結局それは、〝お母様〟が
勝手に作り上げた
ただの自己満足じゃないっ…!」




彼女が激昂しているのを意にも介さず
お母様と呼ばれる貴婦人は、
食後の紅茶を一口飲み
ふぅ…と息を吐き、一言答えた。



「ティアナ…、聞き分けなさい。
貴女はルーファス家の次期当主
なのですよ。」