俺はカメラを片手に、文化祭会場をまわっている。
写真部だと言うと、地味だね、と普段は言われるけれど。
こういったイベントでは重宝される。
文化祭の写真係として、俺は仲間の部員と二人で歩いていた。

「あ、あれ、瀬田の弟じゃねぇ?」

「お。本当だ」

仲間の声に視線を移せば確かに。
弟が、女の子の手を引いて歩いていた。

え、なにそのカッコ。
お前、結婚したの?
まだ1年生だろ?