「………ッ」

私は、ゆっくりと目を開ける。
ここは…どこかの部屋のようだ。
とてもシンプルな部屋だ。
私はそこに寝転がっている。
辺りを見回すと、そこには見慣れた4人が同じように横になっていた。
部屋は4人が寝転がってギリギリの広さだ。
皆、目を覚ましたらしく、体を起こし始めた。
私も同じく体を起こした。
逃げようにも逃げたら嫌なことが起こる。
それを、私たちは本能的に感じ取っていた。

「ここ…どこだろう…」

悠奈が小さく呟いた。
そんなのわかる訳がない。
それを、悠奈もわかっていたのだろう。
すぐに俯いてしまった。

部屋に長いこと沈黙が流れた。
このメンバーで沈黙が続くことなんてほとんどなかったはずだった。
その重苦しい沈黙を破ったのは…

「おぉっと、皆さん、見ないうちにお目覚めのようだね」

部屋の隅に設置された、小さなスピーカーから聞こえてきた声だった。


「アンタ誰!?」

スピーカーの声に逸早く反応したのは、美代里だった。
美代里の声にスピーカーの声の主はすぐに反応した。

「まぁまぁ、そう感情的にならないで落ち着こうか。上原 美代里」

「…!?」

名前をフルネームで呼ばれた美代里は驚きを隠せずにいた。
悠奈は俯いたまま怖がっていて、陽花は悠奈をなだめている。
光は困ったような顔で美代里を見つめている。
私は、何も出来ずにスピーカーと美代里を交互に見ていた。
そんな私たちを無視してスピーカーは驚くべき事実を私たちに告げた。

「今から君たちにはとあるゲームをしてもらう」

「ゲーム?」

私は瞬時にスピーカーから放たれた言葉復唱する。
他の4人も次に放たれる言葉を待ってるかのようにスピーカーを見ていた。

「ゲームの内容は…なんと言えばいいだろうね~」

スピーカーからは勿体ぶった声が聞こえてくる。
人を掌の中で転がしたりするのが好きなのだろう。

「勿体ぶらないで言ってよ!」

美代里はいつになく強気だ。
スピーカーの声の主は、勿体ぶって中々言わない。

「では、お教えするとしよう」

コイツは一体どれだけ人を弄ぶのが好きなのだろうか。
私たちがスピーカーを見つめる中ついにスピーカーから声がした。

「貴方たちにやってもらうゲームは…」

声が途切れた。
数秒後、スピーカーからようやく声がした。

「私のところにたどり着く。ただそれだけだ」