それで、向田くんに教科書のページを教えてもらって、速度部門の方のページを開くけど…。


なんだかつらつらと長ーいお手本の文章が記されていて。


右下には制限時間10分・300文字と記されていて…。


え…10分で300文字も打たないといけないの…?



「ぜ、絶対無理…!」


「緋奈ちゃん早くしたほうがいいよ、あと5分だよ!」


「あ、は、はいっ」



うそ、もう制限時間半分過ぎてる…!


小声で向田くんが急かしたので、あたしは急いで目の前のキーボードに目を移す。


ローマ字でひらがなを打つのはできるんだけど…。


キーボードの場所がわからない…!



「“な”…“な”…あ、Nみつけた!A…A…」



Aのキーボードがない…!


どこぉ…。