工業高校のイケメン達に愛されて【上】




と、思ったんだけど。


どうやら違うみたいです。


お母さんが自分の部屋から持ってきたのは…何かを包んだ淡いピンク色の風呂敷。


風呂敷…見たことないものだけど。


なんだろう…?


あたしは怪訝な表情でお母さんを見上げた。



「え…お母さん。これって…?」


「お母さんがね、若い頃に着てた浴衣よ!」



ゆ、浴衣っ!!?



「お、お母さんっ!あたし私服で行こうとしてたんだけど…。」


「絶対浴衣の方がいい!!」



という、お母さんの圧力に負けてしまいました。



「緋奈が生まれる前は、毎年お父さんと浴衣で花火大会に行っててね。着なくなってもどうしても捨てたくなくて、ずっとしまっておいたのよ。」



「あ…。」



お父さんとの思い出に浸っているのか…複雑な表情をしていた。


お母さんは、大事そうに風呂敷を開けた。