と、思ったんだけど。
どうやら違うみたいです。
お母さんが自分の部屋から持ってきたのは…何かを包んだ淡いピンク色の風呂敷。
風呂敷…見たことないものだけど。
なんだろう…?
あたしは怪訝な表情でお母さんを見上げた。
「え…お母さん。これって…?」
「お母さんがね、若い頃に着てた浴衣よ!」
ゆ、浴衣っ!!?
「お、お母さんっ!あたし私服で行こうとしてたんだけど…。」
「絶対浴衣の方がいい!!」
という、お母さんの圧力に負けてしまいました。
「緋奈が生まれる前は、毎年お父さんと浴衣で花火大会に行っててね。着なくなってもどうしても捨てたくなくて、ずっとしまっておいたのよ。」
「あ…。」
お父さんとの思い出に浸っているのか…複雑な表情をしていた。
お母さんは、大事そうに風呂敷を開けた。



