「…相葉くん、笑ってる。」
まだ涙目で赤い目を細めて、中村が笑う。
…そんなつもり全然なかった。
無意識…か?
途端に俺は恥ずかしくなる。
「なっ、笑ってねえって!」
「ううん、すごくニコニコしてた。そんな相葉くん見るの、初めて。ふふっ」
お前の方が、ニコニコしている。
…思わず、見惚れてしまう。
「中村____…」
俺が中村の名前を呼んだのと同時に。
ガチャリと、俺の部屋の扉が開いて。
「はっ?翔…!?」
驚いた顔で、扉のノブを握ったままの優介が俺ら2人を見下ろしていて。
…あ、そういえば。
俺、中村の頰に手を添えたままだった。
優介はこのあと柄にもなく慌てふためいて、誤解を解くのに時間がかかった…。



