…早く帰ろう。
そう思っているのに、バイバイと言った中村は、俺をじっと見つめて帰ろうとしない。
…なんなんだよ。
なに見てんだよ。と中村にそう言いかけた時、
「相葉くん。ここまで一緒に来てくれてありがとう!じゃあねっ!」
先に中村が口を開いて、笑顔でもう一度別れの挨拶をして、そのまま小走りで去っていった。
「…フン。」
なにがありがとう、なんだ。
いちいち相手に気遣いやがって、お人好しなやつ。
走って去っていく中村を、俺は遠目で見つめた。
…あいつら3人に免じて、ここまでは、校門までは一緒に来てやったまでだ。
_____入学式のあの日。



