話したこともなければ、見かけたことも…多分ないはず。
そんな接点の全くない人にいきなり好きだなんて言われても、気持ちはありがたいけれどあまり嬉しいとは思えない…。
本当に申し訳ないんだけど…。
「はぁ…。」
「俺らとずっと一緒に行動してるときは遠慮してるのか、ほかの男も近寄ってこないよな。まあ…それでいいんだけど。」
「当たり前じゃんっ!僕ら仲良いもん!ほかの男が緋奈ちゃんに近付いてほしくないもん!」
坂口くんと陸くんの言葉に、少し顔が熱くなった。
あたしたちが仲良くみえて、遠慮してる…か。
周りからそう見えているのだったら嬉しい。
けど、だから陸くんの言うとおり臆病に感じて、あたしが1人できる時にだけそうやって話しかけてくるのかな。
「ふふ。あたし、ほとんどみんなとずっと一緒にいてもらってて、本当にありがたいよ。」
あたしは笑顔でみんなにお礼を言った。
…男の子はあたしが1人になる一瞬の隙を狙っていたのだろうか。



