鬼課長の憂鬱~謎めく可憐な美少女部下~

「どうして人を探すのに、会社を転々としないといけないのかな。あんた、解った?」

「……え? それは……」


 それも俺は深く考えなかった。それは大変だったな、なんて思っただけだった。


「詩織ちゃんは言ってたわよね。11社目で、ようやくあんた……みたいな人に出会ったって」

「確かに」

「なんでだと思う? 普通、人を探すために転職する?」

「それはたまたまじゃないか? たまたま11社目で俺に出会ったって事じゃないのか?」

「たまたまとは思えないわ。どの会社もきっちり1年で辞めてるのよ? 契約が1年というのは解るけど、正社員でもそうなのよ? ああ、逆か。1年は辞めなかったって言うべきね」

「ん?」

「あの子はまじめだから、どの会社も我慢して1年は務めたんじゃないかしら。すぐに辞めたら悪いから」

「1年でも困るよ。会社としては」

「まあ、そうだけどね」

「どの会社も全部ソフト会社だし。普通、多少は業種違いも混ざるものじゃないの?」

「それはさ……SEという仕事にこだわりがあって、会社で人を探したのは、社内恋愛をしたかったからじゃないかな」

「本当にそう思うの?」

「ん…………思わない」


 俺は強引にこじ付けてはみたものの、野田が言う通り不自然だと思った。謎は深まるばかりなのだが……


「ある仮説を考えたら、全部辻褄が合っちゃった」


 野田はちょっと、いや、かなり得意げにそう言った。