――――――――…… 夜明けの町、東の空がほのかに明るんでいる。 「ハァ、ハァ……っ」 俺は、神社の石段を駆けのぼっていく。 野球部を辞めたあとも続けていた朝夜のランニングは、必ずこの場所に来ていた。 あれから…… こうして、願うことしか。 俺には償うこともなにも、できなくて。 神前に立った俺は、両手を合わせて目を閉じる。 神様、どうか――。 “四葉の手を治してください”