あの時も思ってた。



湊の背中は、不思議なほど



あったかくて、落ちつく。



あの時、どれだけ心強かったか……



湊は知らないでしょ。



お父さんが死んじゃったとき、後にも先にも、



あたしは湊の前でしか泣けなかったから。



湊がいなかったら……



あたしが泣ける場所は、どこにもなかったかもしれないって思う。



ねぇ……湊。



湊の背中は

あの頃よりもずっと。



ずっと、ずっと……大きくなったね。






この夜、あたしは湊の背中に頬をつけたまま眠りについた。



どれだけ涙を流しただろう。



まるであの日の、



幼い頃に戻ったみたいに……。