嘘と本音と建前と。

規則性を持たせると何処かでアクシデントが発生した場合の修正が

面倒臭いからだ。


規則性がない方が自由が利く。


例えば毎日楓と駅まで行かなくて済んだりだとか

たまたま同じ電車に香織が乗り合わせたりだとか。


「あれ、司先輩。」


香織の声と重なってアナウンスが流れた。


香織が乗車してから3駅過ぎているようだ。


呼ばれて見上げると香織は吊革を持つ手の方にスクールバックを

かけていた。


そして反対の手には単行本を開いている。


「おはよ。」


司は立ち上がり香織に座るように促した。


「いやそれは流石に悪いんで。」


香織は座るのを渋っている。