「蓮、今日の放課後空いてる?」


隣を歩く蓮に笑いかける。


「ん?」


相変わらずの優しい表情の蓮。


「ちょっと待って。」


おもむろに携帯をカバンから取り出す蓮。


黒い携帯の先には、二人でお揃いでつけているくまのストラップ。


私のは白色で、蓮のは黒色。


それが、蓮の指が動くのに合わせて揺れる。


携帯を、耳に近づける。


プルルルと軽い音が小さく聞こえた。


「か‥さん……」


電話をかけたのは、お母さんらしく蓮は気を使ってか、私から距離を取る。


しばらく、離れて歩く。


話が長くて、ちょっと心配…


大丈夫かな?


蓮の横顔を見つめる。


うぅ


格好いい‥


‥す 「良いって。」


クルリとこっちを見て笑う蓮。


黒色の携帯をカバンにしまう。


それに、ビックリして心の中の声が途切れる。


「あ!!よかったー」


心臓はバクバクと大きな音が鳴ってる。


恥ずかしい‥な


鼓動が落ち着いてたら、もう学校に着いてることに気づく。


「じゃあ、放課後。何時ものとこ、待ってる。」


それだけを言った蓮はクルリと私に背を向けていってしまう。


その背中に手を小さく降る。