【完】36℃の思い〜世界で1番大切なキミへ〜



「ごめん。俺...トイレ行ってくる」



近くにいた部員にそう告げると、シートを立ち人を避けながら目的もなく歩いた。

今はこの人混みも、自分の姿を消してくれているみたいでありがたく感じる。



「トイレ、そっちじゃないけど?」



けれど俺の耳にそんな言葉が聞こえ、その場に立ち止まった。

聞き慣れた声。

誰か確認しなくたって分かる...



「別に翼に関係ないだろ」



「へぇー。なしてそんなに怒ってるわけ?」



なして怒ってるか?そんなの...自分が嫌なだけ。

未菜のこと諦めるって決めたのに、いざ翼と未菜が仲良く2人でいる所を見ると無性にイライラする。

そんなことにイライラしている自分が惨めで、こんな自分に腹が立つ。



「関係ないし。怒ってない」



翼になんて怒ってない。

それに、幸せな翼に追求されたくない。



だけど、



「関係なくないね」



翼は俺を突き放したりしなかった。