「なした?」
翼に視線を向ければ、携帯を黙って眺めていた。
帰る支度もせずに...なにしてるかと思えば、携帯かよ。
「帰んないの?」
「んー...」
俺のことを呼び止めたくせに、返事は曖昧。
「翼?」
「...これ行かね?」
そう言って翼が見せたのは携帯の液晶だった。
そこには大きく明日開催される〝花火大会〟の見出し。
「...2人で?」
この歳になって男2人で花火大会はなんだか虚しい気がする...
けどそれは俺の早とちりだった。
翼は首を横にブンブンと大きく振っている。
「未菜ちゃん誘えないかな...」
「えっ?」
待て待て。未菜って言った??
〝未菜〟って名前を聞いて変にドキッとする。


