「瑠星また授業中にテニスコート見てたよな」
俺の目の前に座る翼がそんなことを言ってきた。
きっと、授業中に俺のことが視界にでも入ったのだろう。
「なんか面白いじゃん。誰もいないテニスコート見るのってさ」
「そうかー?ただのコートだべさ」
「そんなこと言うなら今度見てみろよ」
俺がそう言うと翼は、ほんの少しだけ考える素振りを見せて言った。
「そこに未菜ちゃんがいたらね」
「はいはい」
また未菜だ。
俺は翼の惚気をニヤニヤしながらわざと流す。
俺達は未菜と以前に増して仲良くなり、苗字呼びは辞めて名前呼びになっていた。
部活も他の部活に比べたら上下関係が緩く、未菜も俺のことはりゅーちゃん、翼のことは翼くんと呼んでいた。


