【完】36℃の思い〜世界で1番大切なキミへ〜



そしてこの学校に入学した時、先輩の姿を見て驚きを隠せなかった。



先輩の身長は以前より伸びていて。

だけど昔と変わらない声と色素の薄い髪。



そんな先輩の姿に私はその場から動けなかった。



だけど、精一杯の平常心を装い昔みたいに微笑んだ。

その日の放課後には、わざと未菜に関わらないよう傷つける言葉を放った。



私は怖かったんだ...

昔のことを知っている人がいることが。

未菜がこれをきっかけに...記憶を戻すことが。



だから私は、先輩から未菜を遠ざけたかった。



そのために私は1つ嘘をついた。



『未菜の中には、先輩との記憶。先輩絡みの記憶。ぜーーーんぶ消えちゃったんです!』



消えたのは、私が関係する記憶──



私が先輩を好きで酷いことをしたせいで、未菜の中には先輩との記憶が無くなったんだ。




『嫌な思い出、ストレスを抱えていた原因そのもの、無意識に彼女が思い出したくないと思っている…それらが理由じゃないかと』



この言葉は、そっくりそのまま私に返ってきた。



そうして未菜から先輩を遠ざけて安心したのもつかの間。

私は体育の時間未菜が来なかったことを尋ねると、未菜は先輩の話をした。



『須藤先輩達に会って...先輩と...ちょっと』



その話をする未菜は顔を少し赤らめ、気恥ずかしそうに、困ったような表情を浮かべた。

そのことに、不安が襲ってきていてもたってもいられず、その日の放課後先輩を待ち伏せした。