【完】36℃の思い〜世界で1番大切なキミへ〜



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あれから教室に戻れば、何事もなかったかのように授業を受けた。

そして何事もなかったかのように、授業が終われば教室を後にする。



「瑠星悪いけど、先生に呼ばれたから先に部活先に行ってて!」



いつもは長沢と一緒に部活に行っているけれど、今日は1人。

今日みたいな日は、少しでも1人の時間があるとありがたい。



なにより〝演技〟をしなくていいから──



俺は昇降口に着くと、無表情のまま下駄箱から靴を取り出す。



「りゅーちゃん」



その時、急に呼ばれた言葉に...俺は動けなくなった。



正確には数秒。

0.03秒とかだろうけど。

でも、その数秒が...俺には何十秒にも感じた。



俺はぎこちなく声のした方を向く。



きっと今の俺は酷い顔をしているに違いない。

青ざめているか、怒りで狂って赤くなっているか。



「...ふふっ。〝未菜〟だと思いました??」



俺の視界には、憎たらしく微笑む山野千沙の姿が映る。



「...お前っ」



本当にコイツは悪趣味だ。