「あの...須藤先輩...ありがとうございます」
そんな俺に未菜はお礼を言った。
『りゅーちゃん!ありがとう!』
それと同時に昔の思い出を1つ思い出す。
未菜が笑顔でお礼を言っていた時を。
その思い出は幸せな思い出の1つに限りないのに。
今となっては、俺を苦しめる材料。
「...」
結局俺はなにも答えられなかった。
だけど未菜は返事が返ってこないことを想定していたかのように、また俺に言葉を掛けた。
「須藤先輩って凄く足が速いですね。羨ましいです」
「......」
足が速くたって、1番に未菜の元へ駆けつけられなかったら意味がない。
「須藤先輩は...」
未菜は俺の前に立ちはだかった。
「......私とそんなに話したくないですか...?」
俺はゆっくりと顔を上げ未菜のことを見た。
未菜の顔は寂しそうに...どこか泣きそうに俺のことを見つめていた。


