【完】36℃の思い〜世界で1番大切なキミへ〜



「あれれ、翼先輩じゃないですかぁ〜」



けれど、どんなに怒った翼くんを見たって千沙は動じなかった。



「俺の名前呼ぶな」



「じゃあ...名無しさんって呼んじゃっても良いですか??」



千沙は翼くんを、ただただ揶揄う。

そんな千沙に翼くんは今までに見たことないぐらい低い声で、



「黙れよ」



と言い鋭く睨みつけた。



「...未菜ちゃん」



「は、はいっ?!」



突然名前を呼ばれビックリした。

私の名前を呼んだ声はいつもの翼くんの優しい声色で...そんな優しいいつとの翼くんに泣きそうになる。



「花火大会行きな!走れば間に合うかもでしょ?」



駅に取り付けられている時計を見れば、既にもう18時45分。

今走って電車に乗り込めばギリギリ間に合うかもしれない。



だけど...



「大丈夫だから!あとは俺に任せて!ほら」



「......分かりました。翼くん本当にありがとうございます!!!」



私はそう言うと歩き初めようと1歩を踏み出した──