「あれれ、翼先輩じゃないですかぁ〜」
けれど、どんなに怒った翼くんを見たって千沙は動じなかった。
「俺の名前呼ぶな」
「じゃあ...名無しさんって呼んじゃっても良いですか??」
千沙は翼くんを、ただただ揶揄う。
そんな千沙に翼くんは今までに見たことないぐらい低い声で、
「黙れよ」
と言い鋭く睨みつけた。
「...未菜ちゃん」
「は、はいっ?!」
突然名前を呼ばれビックリした。
私の名前を呼んだ声はいつもの翼くんの優しい声色で...そんな優しいいつとの翼くんに泣きそうになる。
「花火大会行きな!走れば間に合うかもでしょ?」
駅に取り付けられている時計を見れば、既にもう18時45分。
今走って電車に乗り込めばギリギリ間に合うかもしれない。
だけど...
「大丈夫だから!あとは俺に任せて!ほら」
「......分かりました。翼くん本当にありがとうございます!!!」
私はそう言うと歩き初めようと1歩を踏み出した──


