【完】36℃の思い〜世界で1番大切なキミへ〜



外を歩くのは怖いけど、でも、花火大会のことを考えれば少しは気持ちが楽になる。



りゅーちゃんって、魔法みたい。



不思議とそんなことを考える余裕まで出てきた。



それから私は学校までの道のりを急ぎ足で歩き、怖さを取り除くように、怖さを忘れるために、がむしゃらに部活に取り組んだ。



───
──




13時過ぎ、部活が終わった。



そこから私は帰る方向が同じ部員と一緒に帰り、今夜の花火大会の準備をお母さんと一緒に行った。



「行ってくるね!」



浴衣の着付けからヘアアレンジまでしてくれたお母さんに笑顔で言うと家を出た。



今の時間は18時10分。

約束の時間は19時だけど、家でじっとなんてしてられなかった。

早く浴衣を見せたかったし、何よりも...早く会いたかったから。



久しぶりにこんなに幸せな気持ちで、楽しい気持ちで外を歩いた気がする。

不思議と地元の駅までの道のりはあっという間だった。



「あれ??未菜?」



その時...背後から少し低く、落ち着いた声が聞こえてきた。

その途端私は動けなくなった。



「あれれ??どうしたの??固まっちゃって」



動きたいのに、言葉を返したいのに、返さなくちゃなのに......恐怖で体が動かない。



「うふふっ。みーな??」



その声の主...千沙は私の前に身を乗り出した──



ドクン...ドクン──

嫌な心臓の音が全身に響き渡る。