千沙ちゃんは不気味に口角を上げた。
「好きですよ」
正直素直に認めるなんて思っていなかった。
「やっぱり、翼先輩はさすがですね。あの時私が漏らした言葉...覚えていたんですかぁ??」
千沙ちゃんが漏らした言葉...
あの日、テーマパークに行った日。
瑠星と未菜ちゃんカップルが楽しそうに話しているのを見て、
『ウザイなぁ...』
と言っていたんだ。
その言葉はかの鳴くような声で、たまたま隣にいた俺でさえ聞こえるか聞こえないか微妙な声。
あの時のことは今でも鮮明に思い出せる。
千沙ちゃんは、いつも俺達といる時は笑顔を絶やさない子だったのに...
その時の彼女の目は死んでいて、正直怖いと思った。
けれど直ぐに、いつもの笑顔に戻り、そのことに関して突っ込むなどはなかったのだ。
「あははっ、翼先輩はあなどれないなぁ〜」
千沙ちゃんは俺にバレたにも関わらず、痛くも痒くもなさそう。


