Rain

「先生、私、もう行くね」


私がそう言うと、先生は驚いたような顔をして言った

「えっ!?……もう大丈夫なのか?」

先生はそう言って、真剣な顔で私の事をじっと見つめてくる

私はそんな先生に対して、今できる精一杯の笑顔で答えた

「…うん。……それに…また、今みたいに急に他の先生が来て、その時、万が一にでも私が見つかるような事があったら先生に迷惑かけちゃうでしょ?」

それを聞いた先生は慌てて言った

「迷惑なんて、そんな俺は―――」

「それに!」
でも、私は、そんな先生の言葉を遮って続ける

「…それに……もう逃げたくないの…………今回の事だって…よくよく冷静に考えたら、悪いのは愛実ばかりじゃない………今まで『友達』とか言っときながら、愛実とちゃんと向き合って来なかった私も悪かったと思う。
一時間、頭冷やして考えたら、それに気が付いたんだ……
だから、もう一度、改めて愛実とちゃんと話してみる……私の言葉なんて聞いてくれるか分かんないし、信じてくれるかも分かんないけど…」

先生は、そう言った私を暫くじっと見た後、小さく「…そうか」と言った

そして、私の目をじっと見据え、今度は静かに、でも強く言った

「…頑張れよ」

私はそんな先生に対して、満面の笑みで「うん!」と答えた



…不思議だ

例え、どんなに不安でも先生に「頑張れ」って言われたら何でも出来るような気がするんだ

まるで、先生は私に勇気をくれる魔法使いみたいだね






「先生、ありがとうございました!」

私がそう言って、準備室を後にしようと出口まで行った時だった

「本條!」

先生はそう言って私の腕を掴んで引き留めた

不思議に思い、首をかしげる私に先生は強く言った

「何かあったら、いつでも準備室に来い!
俺はいつだってここにいるから!」

そう言って、真剣な顔で私を見てくる先生を見ていると、思わず笑みがこぼれた

私は小さく「はい」返事をして、準備室を後にした