美雨はとにかく明るくて、いつも笑っている奴だった

コイツ、悩みなんて無いんじゃないかって思う位、本当にいつも

僕は付き合うまで、美雨の笑顔以外の表情を見た事がなかった

多分、美雨と親しかった僕や、壱成、そして、美雨の親友だった麻実以外の他の奴等なんて、最後まで美雨の笑顔以外の表情を見た事は無かったと思う

……まぁ、その笑顔を奪ったのは、他でもない、この僕なんだけど―――…

当時、美雨と付き合うまでの僕が、悩んだ時、辛かった時、どれだけ彼女の笑顔に助けられたか―

多分、美雨は知らないと思う

言った事も無かったし

言ってあげれば良かったと思う

ていうか、何故、言ってあげなかったのだろう

今となっては、後悔してもしきれない

まぁ、そもそも、当時の僕の悩みっていったって、思春期特有のもので、今となっては、何で、あの程度の事で、あんなに悩んでいたんだろう?って首を傾げたくなるようなものばかりだった

それでも思春期だった僕は本気で悩んでいた

でも、当時の僕は本当に子供だったと思う

隣に美雨がいるのが当たり前で

当たり前になりすぎて

美雨に甘えてた

まさか彼女がいなくなってしまうなんて、夢にも思わないで―――…