いつものようにリビングに降りていくと、お母さんが朝食を作っている

そんなお母さんを横目に、顔を洗おうと洗面所へ向かおうとすると、リビングの隣の和室にある仏壇が目についた

遺影の中のお父さんは、満面の笑みを浮かべている




お父さんは、私がまだ小学校2年だった時に病気で亡くなった

誰よりも正義感が強くて、いつも笑っていて、高校の先生をやってたお父さん

いつも生徒の事に関して、熱く語っていた

クールなお母さんからは、鬱陶しがられてたりもしたけど、私は、そんなお父さんが大好きだった

お母さんもきっとそうだろう

あまのじゃくなお母さん

口が避けても「大好き」なんて言わないだろうけど

きっと、心の中では誰よりも大好きだったと思う

自分とは真逆のお父さんが大好きだったと思う

だから二人は結婚したんだろう









…昔、お父さんが亡くなった時、無類のお父さんっ子だった私はワンワン泣いた

そして、それからは毎日、何回も仏壇に手を合わせていた

そして、本当に他愛もない事でも、その日起こった事は全て報告していた








でも、いつ頃からか仏壇に手を合わせる回数が減ってきていた

そして、今となっては、ほとんど手を合わせてなどいない

たまに合わせたとしても、本当に一瞬だけで、近況報告なんて、もう高校に入ってから1度もしていないんじゃないだろうか