「あ……此処」
蒼空をある場所へ連れていくと
見覚えがあるかのような
表情でその場を見つめる
この場所は武術を鍛えるために
設置された特別室
俺や上の者は皆此処を使って
力をつけている
蒼空も何度か来ているはずだ
「今日いきなり仕事をするのは
大変でしょうから
少し身体を動かされてはいかがかと」
というのは
ただの口実だ
蒼空が強いことは
さっき、あの二人と戦ったのを
見て理解したし
あの時の動きだけでも十分に
身体は戻っているはずだ
けど
あの時の蒼空は蒼空自身では
ないことも俺にはわかる
あれは蒼空の中にいる
もう一つの人格

