「俺は雨水を継がない


それは前にも言っただろう……


あの人たちには申し訳ないけど


俺に期待も何もしないでくれ」




目の前の黒服を着た男に


そう言葉を告げると


その場から去るようにして


椅子から立ち上がる





俺の家は世に言うヤクザ


極道だ


昔からあとを継ぐことを期待され


そのための教育をされ続けてきた


でも そんなものは


あの人たちのエゴであって


俺は継ぐつもりはない




だから俺は去年


雨水の家を出たんだ









今は遠く離れたところで


ある人に世話になっている