言えない恋心


 ああ、彼の瞳はとにかくとても綺麗。

 大地のように力強く、草木のように優しい。



 ひとたびヒースと視線が重なれば、わたしはエメラルドの瞳にすっかり捕らわれてしまう。



「ぼくはロズの瞳がはしばみ色だということも、笑うと陽だまりのようにあたたかだということも知っている」



 ああ、彼の声はまるで草木を撫でる風のように優しい。


 ヒースは天才ね。

 わたしを有頂天にさせる天才。


 ――だからこそ、彼の言葉は信用できないわ。



 彼はわたしが落ち込まないようにお世辞を言ってくれているだけ。

 この言葉は真実であるという保証はないもの。



「やっ、やめて! とにかく、わたしは行きません!!」


 なんとかヒースの視線から逃れることに成功し、平静を装って口を開いた。


 わたしはひたすら手だけを動かして、草むしりを続ける。



「ロズ……」