言えない恋心


 太陽の光がさんさんと降り注ぐ中、テノールの声が聞こえたかと思うと、伸びてきた長い影がわたしを覆った。


 この声が誰なのかは、顔を見なくてもわかる。


 だってこの屋敷でわざわざわたしに声をかけてくれる人は彼だけだから……。


「ヒース」


「やっぱりここだった」


 見上げれば、真っ青な空と反対の色をした金色の髪が目に入る。

 この庭に芽吹いている芝生と同じくらい美しいエメラルドグリーンの瞳は目が合うと、よりいっそう細くなって、微笑んでくれるの。


 わたしよりもずっと背が高くて、すらりとした長い手足。彼が着ている白のチュニックとブルーのズボンが、いっそう爽やかに魅せる。


 十七歳のわたしよりも四歳年上の彼の名前は、ヒース・ハウリング。


 このお屋敷のひとり息子だ。

 そして彼はとてもハンサムで、この屋敷はおろか、外出先でも愛されている、まさに王子様と呼ぶに相応しい。