「ロズ、愛している。澄んだ瞳も。僕を呼ぶ時に開く、ふっくらとした赤い唇も。綺麗な波打つ赤茶色の髪も。怒った表情も、はにかんだ笑みも全部だ!」


 思ってもみなかった彼からの告白に、戸惑いを隠せない。


 ワルツを踊っている時、いっそう優しい笑みを向けていた相手はわたし?



 まさかヒースと両想いだとは思ってもいなかったわたしは、嬉しいという気持ちよりも、驚く方が先――。

 ぽかんと口を開けて、目の前にある凛々しい顔を見つめた。


「貴女はどう思っているのかしら?」


 お祖母様が尋ねた。どうやら彼女もヒースの恋を知っていたようだ。そして、ヒースの恋の相手がわたしだということも!!


「さあ、君の番だよ。返事をくれないか?」






 ああ、もう逆らえないわ。


「ええ、失恋したと思って昨夜一日中夜通しで泣き腫らすくらい、貴方を愛しているわ」



 わたしは観念して彼の背中に手を回した。





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灰かぶり~
言えない恋心。END
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