いつか、わたしではない女性に対してもこうやって優しく微笑むのかしら……。
そう思うと、胸が痛みだす。
だけど今だけ。
今だけでいいわ。彼を独占したい。
欲張りなわたしは差し伸べられた手に身を委ねた。
彼の手を借りて長い階段を下りきったわたしは音楽に合わせてワルツを踊る。
頭上にあるシャンデリアが周りを霞ませ、白銀の世界に誘う。
まるで今は夢の中にいるよう。
彼の手が回ったわたしの腰から熱が伝わる。
浮上する心と体がヒースのワルツに合わせて動く。
周囲からの視線は、会場の真ん中で踊るヒースとわたしに釘付けだ。
どこからか、感嘆のため息も聞こえてくる。
「綺麗な目だね」
夢見心地の中、突然、何の前触れもなくヒースに告げられて、わたしの心臓が大きく鼓動した。
だってヒースはいつもわたしの目を褒めてくれるから、てっきり正体を知られたと思ったの。
だけどそれは違ったみたい。



