「どうして? 貴女は体が細いし、きっとサイズはぴったりだわ。ああ、このティアラも必要ね。これでご親族方々には気づかれずに済むでしょう?」
彼女はわたしに綺麗なダイヤモンドが散りばめられたティアラを頭に乗せた。
わたしは身分が低い人間だ。こんな綺麗なものを着られる筈がない。
そう思うのに、彼女の言うとおりだと心の奥底で頷(うなず)く自分がいる。
気がつけばわたしはドレスを受け取り、身にまとっていた。
「まあまあ、可愛らしい。どこからどう見ても、とてもお上品なお嬢さんにしか見えないわ」
着てみるとドレスは彼女が言ったとおり、サイズはぴったりだ。
わたしは彼女の手に導かれるまま、皆がいる広間へと向かった。
「あの、ありがとう……」
大広間に続く長い階段の前。
わたしはそこに立ち、振り向きざまに彼女にお礼を言おうと口を開けると、隣にいた筈の彼女の姿はない。



