「……わっ、わたしはお義母様から、用事がない時はこの部屋から一歩も外に出るなと言われているんです」
だからパーティーには行けない。
そう言おうとすると……。
「用事はあるわ。ヒースの誕生日パーティーは歴とした用事の理由になるのではなくて? どうしてもというのなら、そうね……。彼女たちに気づかれないようにしましょう。そして、彼女たちが戻る前に帰ってくればいいわ」
難しいことなのに、とても簡単に言ってのける彼女はどこか楽しそうだ。
「どうやって?」
首を傾げて尋ねてみると、彼女は、「ちょっと待っていて」と言い残し、部屋を出て行った。
そうかと思えば、五分も経たないうちに戻ってきた。
項垂れているわたしに、ふんわりとした肌触りの良い、真っ白なドレスを差し出した。
「これを着なさい」
――えっ? 彼女は今、なんと言ったの?
「きっ、着られません」



