言えない恋心


 年齢は七十くらいかしら。彼女は若葉色のドレスを身にまとい、ひとつにまとめた白髪もとても綺麗。


 身なりからして、とても身分が高い方だというのは一目見ただけででわかった。


 もしかして、ヒースの親戚筋の方かしら。



「貴女はここで働いてくれているのね。いつもありがとう。だったらパーティーには出席しなければ!」


 どちら様か尋(たず)ねようとしたら、彼女は隙を与えず、そう言った。


 ――できることなら出席したい。

 ヒースの晴れ姿を見たい。

 だけれど、パーティーには行けない。



「い、行けません。わたしのような身分の低い者がヒース様のパーティーに参加すれば、皆の笑いものになってしまいます」


「どうしてそんな悲しいことを言うの? 貴女はとても可愛らしい大きな目をしているじゃない」

 不思議な女性だ。

 会って間もないのに、彼女はヒースと同じようなことを言う。