言えない恋心

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 ――その日の夜、わたしは義母のカルメに与えられた、シングルベッドがやっと入るくらいの小さな部屋で、しゃくりを上げて泣いていた。




「まあまあ、いったいどうしたというの? 可愛らしいお嬢さん」


 優しい響きのある声音がベッドに突っ伏して泣いていたわたしの頭上から落ちてきた。


 突然声をかけられ、びっくりして顔を上げると、開いた扉の先にある廊下から漏れる明かりを背景に、ひとりのお婆さんが心配そうにわたしを見下ろしていた。


 鍵をかけなかったのが悪かったみたい。


 今はヒースのパーティーが開催されている真っ最中だ。だからまさかここに人が入ってくるとは思わず、悲しみに打ちひしがれたわたしは扉を閉める気にもならなくて泣いていたのがいけなかったのね。


 見ず知らずの女性に泣いている姿を見られるなんて恥ずかしい。