「ルイ様。」

長身長髪の黒髪に薄紫色の瞳の美男子が、類い稀な美しい容貌をしている、金髪に金色の瞳の青年に声をかけた。

「何だ?ヴァン。」

ルイは、ヴァンのほうに振り向く。

すると、ヴァンは、

「ところで、どうやって、クリスを捜しますか?」

そう聞いた。

「フフフッ!まぁ、クリスの居場所なら、大体、見当はついてる。」

冷笑したルイは、そう答えた。

「それならば、手下の者を呼び、クリスの元へ‥‥‥。」

そう言いかけたヴァンを、ルイは制した。

「いや、待て。別に今、クリスのことを急ぐ必要もあるまい。それよりも‥‥‥。」

そう言ったルイの視線の先には、慌てて走っている者の姿があった。

「ヴァン。サングラスをかけろ!!」

と、低いハスキーボイスで、そう命令した。


「ハァハァハァハァハァ‥‥‥‥。どうしよう、遅れちゃうよっ!!陽菜と約束してるのに‥‥‥。


ボクは、慌てて走っていた。

「今日は、大事な『陽菜との約束』なのに、遅刻するとか、ボク、有り得ないよ!!」

昔は、隣同士の家に住んでいた、ボクと陽菜。

でも、今は、別々に暮らしている。

別々っていっても、二駅ぐらい乗り継ぐだけだけどね。

そんなボクの前に、急に『ソイツ』は『現れた』。

黒いコートに、黒いサングラスをかけた『ソイツ』は、いかにも『怪しいヤツ』だった。

何やら、『お供の者』も連れてるようだが、やはり、こちらも、黒いサングラスをかけていた。

金色に光る髪が、妙にキレイなのは、印象的だが、怪しいヤツは怪しいヤツだ。

すると、『ソイツ』が口を開いた。

「おい、『娘』。私と一緒について来い!!」

そう言えば、まるで、誰もがついて行くとでも思っている、その横柄な言葉使いに、ボクはカチンッときた。

しかも、『ソイツ』は、ボクのことを『娘』と言っていた。

ボクは、自分が『女』に間違われたことにも、頭にきていたのだ。

ボクは一瞬、躊躇ったが、生来の性格が災いしてか、一緒について行ってしまった。

この『超横柄男』に、蹴りの一つでも入れてやらないと、気がすまない。

その一心だった。

だが、ボクは、後にそれを、深く後悔することになる。