家に着いた。

会話はまた明日、バイバイだけだった。

お母さんとおにぃちゃんがお帰りと迎えてくれた。

私は手を洗って食卓に着いた。

美味しいご飯を食べながら、おにぃちゃんと、お母さんに謝った。

また赤点取ってゴメンね…と。


お母さんは笑ってくれた。

おにぃちゃんは…仕方ないとだけ言った。

お風呂入って寝よ…。

私、お風呂場に向かった。体と頭を洗い、湯船に浸かった。

ふー…呼吸を整えた。

しばらくしてお風呂を上がった私は髪を乾かした。

そして、そのままベットイン…。おやすみなさい…

翌朝、窓を開けて伸びをした。

いつもと変わらない日常が始まった。

お弁当を持って家を出た。同じところに向かう生徒たちを横目に見て通りすぎた。

グランドに入った時、後ろから声をかけられた。

振り向くと、結城がおはようーと声をかけてきた。

おはようと返して歩き始めた。

早足で私の横を歩こうとする結城…。

朝からウザいなぁと思いつつ、無言で歩いた。


会長とぶつかりそうになった。

どけてくれなかった会長に舌打ちし、睨み付けると、

少し話せるかな、と言われた。

眉間にしわがよってたんだろう…
そんな怖い顔しないでと言われた。

会長に呼ばれて着いていけば、そこは生徒会室…

何?と聞けば、

文化祭について…と言われた。

あーあ文化祭ねぇ…ダルい。

で、私に何の用?

実は…うちの伝統行事についてなんだけど…

番長には特攻服で、参加してもらう。

特攻服はこっちで準備するから…。

選ばれし女装男子5名から一人を選んでもらい、その人とデートするってイベントがあるんだが…キミは番長として参加してもらうことになる…


まっ、マジかよ!?私が参加なの?しかも、一番タイプの女装男子を選ぶの…?
ソイツとデートまでしなくちゃいけないの?

マジダリぃじゃん。


仕方ないか…。伝統行事だし。

まあ…楽しめればいいか。


そんな話をして教室に戻った。

HomeRoomがあって授業が始まった。

珍しく私は教科書を開いていた。もちろん、ノートも書いている。


勉強なんて興味がない…ただ今だけはしないといけない気がした。


お昼休み、私はいつものようにお弁当を食べる。その横には当たり前のように、結城がいる。



文化祭どーすんの?

いきなり結城に言われた。

何なんだよ!!急に…。


私、番長だから強制。伝統行事参加しないといけない…


そうか…あの、特攻服着た番長が女装男子を指名してデートするやつ…

結城はしばらく考え込んでいるようだった。

何を思ったのか、俺も出る!!と言い出した。

はぁ?やっぱりコイツ頭おかしい…。

こんなモヒカン頭のやつが女装?そりゃないぜ…

私は我慢できず大笑いしたしまった。


そんな私を周りが不思議そうな目で見ていた。


真面目にいってんだぞ!!笑うな!

そんなこと言われても…笑いが止まらない。

そこまでする理由はなんなの?私聞いてみた。


お前とのデートかかってる…


ウソ!?本気…?何いってんの?
どーゆうこと?私は頭を悩ませた。


って…私は特攻服で、結城は女装…それでデートってなんか複雑。

そうじゃない…私がもし他の人を選んだら?結城を選ばなかったら、

出る意味無いよね?

それとも、私に選んでもらう自信あるから言ってるの?どうなんだろう…。

イベントにすぎない。本気で付き合うわけじゃないんだから…テキトーに選べばいいんだよね?


うん。絶対そう…。私はそう自分に言い聞かせた。

そして、そのままお昼からの授業が始まったーはずだった。

なのに、教室中が騒いでる…何事!?見渡してもわからない…

窓の外を見て理解した。

なんとグランドに十数人の蓬莱のやつがいた。

行かざるを得ない。仕方なく席を立ち上がった私の腕を結城が掴んで首を横に振る。

行くなと言うことだろうか?

けど、行かなければならない。だって私はこう見えて、会長に認められた、番長なのだから。

結城には悪いが思いきり結城の腕を振り払った。

そして、窓を開けると二階の窓からグランドに向かって飛び降りた。

階段なんてめんどくさい。降りてる暇なんてない…

そういう私の勝手な判断…

教師は特に何も言わずにそんな私を見守った。

そして、結城は呆然と立ち尽くした。


相澤、席つけよ…と教師は普通に言って授業を再開した。

私は見事に着地を決めると奴らの方へと歩いた。

うっ、見たところ…十数人はいる。

一人でやれるのか…結城はもしかしてそんな私を心配してくれたのだろうか…。

そんなこと、今更考えても遅いよね。

ここまで来たらやるしかない。うん。頑張ろう…

私は気合いを入れた。


あんたが、エンスパイヤをやったやつ!?

と相手が聞いてくる。

そうだと少し威張って言ってみた。

鼻で笑われた。なら、俺らにもその実力を見せてよ…と言われた。

相手は十数人…私は一人…卑怯だと思う。
けど、怯んでる暇なんてない。

番長としてこの学校を守る義務がある、

会長、及び生徒会に認められた。

文化祭では特攻服を着るーこんなところで負けていられない。

意をけして踏み込んだ。