彼らもまた兄と同じように周囲から浮いた存在だったからだろうか、3人は急激に親しくなった。
とにかく目立つ3人は、三者三様ではあったが、妙にはまっていた。

西洋人形のような金褐色の髪と青みがかった瞳の、セルジュこと、松本聖樹。
長い髪を無造作に束ねた無頼風なのに独特な品のある、梅宮彩乃。
……3人ともカッコイイことは間違いないが、性格も雰囲気も違うので、私は彼らの交わりを見てるのがとても好きだった。

綺麗で優しそうな風貌なのに、クールで無気力で皮肉屋なセルジュ。
逆に一見冷たそうだが、単に照れ屋で無口なだけで、本当は優しい彩乃さん。
そして真面目な好青年の皮をかぶった、陽気な獣(けだもの)の兄。

3人は、学園の「三銃士」、学園の「松竹梅」などなど、色々な呼ばれ方をしていた。
……松竹梅は、3人の名字の頭を並べたものだ。
セルジュだけは、この「松竹梅」の序列に反発して、「歳寒(さいかん)の三友(さんゆう)」と唱え続けていたが、馴染みのない言葉なので全く浸透しなかった。

1学期の中間テストが終わってしばらくした頃、1人の女子がどこかのグループからはじき出されていることに気づいた。
あぶれた者同士、というわけではないが、何となくその子と話すようになった。

やっとできたお友達の名前は、大村知織(しおり)ちゃん。
知織ちゃんは、邪気を感じない可愛らしい子だ。

普段はむしろおとなしいのに、正義感が強く、仲良くしてた子のカンニングを止めようとして、反感を買ったらしい。

……しかもテストが終わってみれば、知織ちゃんは学年トップ!
どうやら、煙たがられ、僻(ひが)まれたようだ。

ちなみに私の成績は、真ん中ぐらい。
私的には、こんなもんだろう、と満足していたのだが……周囲が放っておかなかった。
それもこれも、あの兄のせいだ。

「兄貴は優秀だったぞ。」
「お兄さんに教えてもらいなさい。」

……などなど、デリカシーのない言葉を添えて答案を返す教師が何人もいた。
小学校でも塾でも、うんざりするほど言われてきてるので、私自身はあまり気にしなかった。

しかし、新しいお友達は、その都度、自分のことのように泣いて悔しがった。
「見返そう!」
と、毎日一緒に勉強してくれた。

知織ちゃんは、頭もいいが、それ以上に努力の人だ。
そしてその勉強法はちょっと変わってた。