でも恭兄さまは、しれっと言った。
「マーキング。あなたは僕だけのモノだから。いいの。」
恭兄さまが、ここまで偏執狂だったとは。
私はなるべく全身を隠せる服装を選んで着替えた。
いつも通り、キャンパスの裏門のそばで車を停める恭兄さま。
「じゃ、今日は4限までやし。行ってきます……んんん?」
そう言って降りようと思ったら、抱き寄せられて、深くキスされてしまった。
こんなとこで……確信犯め。
「……かわいい。」
やっと解放された時には、怒る気力も吸い尽くされて、とろ〜んとしてしまい、体から力が抜けてしまった私に、恭兄さまはご満悦でそう言って頭を撫でた。
……もう……。
1限目の社会1の後、2限目フランス語演習。
……早速、昨日の佐藤くんが私を見つけて話しかけにきた。
「竹原由未さん、昨日はどうも。あの後、師匠に昔のビデオ見せてもらったんだけど、彼氏、玄人はだし、だったみたい。」
玄人はだし?……ああ、玄人跣(はだし)、で逃げ出すぐらい上手い、ってことね。
「そうなんや。てか、佐藤くん、熱心やねえ。あ、恭兄さま、彼氏ちゃうねん。」
佐藤くんは、驚いた表情になった。
「え?竹原由未ちゃん、関西の人?」
「あ……うん。京都。」
……「さん」が「ちゃん」に変わったことに戸惑う。
「京女(きょうおんな)!いいね!」
佐藤くんのテンションが一気に上がった。
「……京都好きなん?」
ここにも京都好きが?……と、恐る恐る聞いてみる。
佐藤くんは、ぶんぶんと縦に首を振った。
「好き!大好き!俺、歴史オタク。特に幕末ファン!」
……あ〜。
チャラい外見に似合わないオタク宣言に、私はちょっと笑った。
「今日、講義いくつ?」
「え?」
「何コマまで?」
「……4。」
「俺も!じゃ、終わったら、由未ちゃん家にお邪魔していい?」
「は?」
……由未ちゃんになったことにも驚いたけど、うちに来る?
いや、それはあかんやろ。
「師匠から、勧誘してくるように言われてさ。天花寺(てんげいじ)さん?俺の師匠のお父さんのお弟子さんだったらしいよ。由未ちゃんも見たくない?お兄さんの昔の舞台。」
「見たい。」
思わず即答してしまった。
「じゃ、決まりね。」
「あ、待って。あの!兄じゃないねん!」
誤解されたままはまずいと思って、私は慌ててそう言った。
「ん?ああ、名字違うもんな。いとこ?親戚?」
「……婚約者。秋に結婚します。」
声のトーンを低くして、それでもハッキリそう言った。
すると、佐藤くんは、わかりやすくがっかりして、床にしゃがみ込んだ。
「あ〜〜〜〜〜。」
呻きながら頭をかきむしると、両手で顔を覆った。
「マーキング。あなたは僕だけのモノだから。いいの。」
恭兄さまが、ここまで偏執狂だったとは。
私はなるべく全身を隠せる服装を選んで着替えた。
いつも通り、キャンパスの裏門のそばで車を停める恭兄さま。
「じゃ、今日は4限までやし。行ってきます……んんん?」
そう言って降りようと思ったら、抱き寄せられて、深くキスされてしまった。
こんなとこで……確信犯め。
「……かわいい。」
やっと解放された時には、怒る気力も吸い尽くされて、とろ〜んとしてしまい、体から力が抜けてしまった私に、恭兄さまはご満悦でそう言って頭を撫でた。
……もう……。
1限目の社会1の後、2限目フランス語演習。
……早速、昨日の佐藤くんが私を見つけて話しかけにきた。
「竹原由未さん、昨日はどうも。あの後、師匠に昔のビデオ見せてもらったんだけど、彼氏、玄人はだし、だったみたい。」
玄人はだし?……ああ、玄人跣(はだし)、で逃げ出すぐらい上手い、ってことね。
「そうなんや。てか、佐藤くん、熱心やねえ。あ、恭兄さま、彼氏ちゃうねん。」
佐藤くんは、驚いた表情になった。
「え?竹原由未ちゃん、関西の人?」
「あ……うん。京都。」
……「さん」が「ちゃん」に変わったことに戸惑う。
「京女(きょうおんな)!いいね!」
佐藤くんのテンションが一気に上がった。
「……京都好きなん?」
ここにも京都好きが?……と、恐る恐る聞いてみる。
佐藤くんは、ぶんぶんと縦に首を振った。
「好き!大好き!俺、歴史オタク。特に幕末ファン!」
……あ〜。
チャラい外見に似合わないオタク宣言に、私はちょっと笑った。
「今日、講義いくつ?」
「え?」
「何コマまで?」
「……4。」
「俺も!じゃ、終わったら、由未ちゃん家にお邪魔していい?」
「は?」
……由未ちゃんになったことにも驚いたけど、うちに来る?
いや、それはあかんやろ。
「師匠から、勧誘してくるように言われてさ。天花寺(てんげいじ)さん?俺の師匠のお父さんのお弟子さんだったらしいよ。由未ちゃんも見たくない?お兄さんの昔の舞台。」
「見たい。」
思わず即答してしまった。
「じゃ、決まりね。」
「あ、待って。あの!兄じゃないねん!」
誤解されたままはまずいと思って、私は慌ててそう言った。
「ん?ああ、名字違うもんな。いとこ?親戚?」
「……婚約者。秋に結婚します。」
声のトーンを低くして、それでもハッキリそう言った。
すると、佐藤くんは、わかりやすくがっかりして、床にしゃがみ込んだ。
「あ〜〜〜〜〜。」
呻きながら頭をかきむしると、両手で顔を覆った。



