trick or KISS―キスしてくれなきゃイタズラしちゃうぞ







「おじゃましまーす…」




陸くんを追って家に入ると



「兄ちゃん、カノジョー?」


陸くんをちっちゃくしたみたいな男の子がいた。



弟くんかな…?


かわいいっ!



「弟の空だ。」


陸くんそう紹介する。



陸くんの弟だから、空くんなのかー。


かわいいなー。




「兄ちゃんのカノジョ、これあげる」



そういうと空くんはなにやらきらきらしたものを差し出してきた。



「くれるの………?」


「うん。くじで当たったんだけど女の子用だし、あげる人いなくて困ってたから。」




それはお菓子についている懐かしい指輪のおもちゃで


思いがけないかわいいプレゼントにくすっと笑うと



「ありがとう」


とお礼を言った。




「喜んでくれて、うれしい。」




そう言ってぱぁぁーと顔をかがやかせる弟くんがかわいすぎて


思わずむぎゅーっと抱きしめる。



「ありがとうー。かわいいー。」



そんなことをしていると。







―グッ


私は背中を強く引っ張られて

よろめいた。



体勢を崩した私は陸くんの腕の中に入ってしまう。



「いくぞ」


少し不機嫌にそう言う陸くんに戸惑いながら頷くと


陸くんに手を引かれて私は階段を上った。




………空くんがにやにやと笑いながら


「兄ちゃん、ヤキモチかよ…」


なんてつぶやいていたことを

私は、知らない。