(9)
「美由が、…行方、不明?」
西島の声が
心臓を突き刺すように響く。
『美由ちゃん、
まだ
家に帰ってないらしい。
音楽室の一件以来、
誰も
姿見た人いないし。
今、暇してる奴ら、
みんな、
かき集めて、
探してるんだ。』
ふと、思い出した。
帰り
…待ってたけど、
一向に
戻って来なかった
放課後の教室。
確か、
鞄は残ってたんだ。
…美由は、
まだ学校に…いる?
『おい!
篤司、聞いてんのか?』
「…学校だ。
美由は、学校に…いる。」
その瞬間、
携帯を切って
上着を掴んで、
家を飛び出した。