音楽室に行くと、
先に来ていた友香に、話しかけられた。
「美由!
私ね、
ソプラノになったんだよ…
って、美由?
何かあったの?」
本当に、友香は、すごいな。
なんで、私の気持ちが
わかっちゃうのかな?
…嬉しいような、
辛いようなそんな気持ち。
「何にもないよ。」
私がそう言うと、
友香は目を吊り上げて言った。
「嘘つき!
いつもそうやって、
ごまかそうとして!」
友香は周りを見て聞かれないように、
私の耳元で言った。
「…もしかして、アイツ?!
篤司のせい?」
ドキッとした。
本当のことを、言われたからじゃなくて。
それよりも…。
友香?
今、『篤司』って、
…呼び捨てで呼ばなかった?

