(16)



美由side



「貴方を思うと嬉しくなる

こんな気持ち

生まれて初めてなの







ただ




見つめてくれるだけで

声を掛けてくれるだけで





まるで

どんな不安も

すべて消えていくかのように

安らげるの







どんな

言葉も伝えきれないから









だから


隣りで青空を見ている


貴方の横顔に

優しく微笑みかけて


そして、

あの歌を歌うの







この想いが

貴方に届きますように




貴方の中に

私の歌が

少しでも残りますように






少しでも

貴方の中に居たいから





私は奏で続ける





ずっと…




ずっと」







歌い終わると、

突然、

後ろから抱きしめられた。




誰かなんて、

すぐにわかった。





でも、

あまりに

突然の事だったから、

心臓が跳ね上がった。